つり


十代の頃 雪がない時期は殆ど川で過ごした。
家にいたくないというのもあったが
テスト勉強でも油絵を描くのも河原でやってた。
もちろん釣りも好きで釣竿はいつも持って行ってたが 魚が釣れることはほぼ無かった。

であるとき思った。釣りに行くと言って家を出るけど 魚を捕まえたいわけで無い。
ただ川に行く体裁を親に告げるために釣竿を持つ
必ず釣るノルマもない
そもそも自分は魚を捕らえたいわけでもない
それなら 針も餌もいらない 糸の先におもりを
一つつけて沈めればいいんだ。と思い

釣り糸におもりをつけて 川にぶちこんで
ゆったり絵を描いて過ごし 陽が落ち
さあ帰るか!ってときに 釣竿をを引き上げるとき
針も餌もついてないけど その重りを飲み込んだ
魚がいるんじゃなかろうか?と 得体のしれない
期待感が生まれ どきどきしながら糸を引いた
当然のことながら 魚なんてつれてるわけがない

でも一瞬でももしや!とおもうだけで十分に
釣りで得る醍醐味を味わえた
そっかこれでいいんだ。と それに
これなら釣れなくても当然という納得感もあり
釣れなかったというネガティブな気持ちにもならない。
で楽しくそんな 擬似釣り川遊びをしてたが
あるひ 川で友人に出会い 釣り?釣れる?と
いうので 釣竿を引くあげてもいいよというと

おもりだけの状態をみて
真顔で頭心配されてしまい
いろいろ なぜおもりだけか?の説明を
するものの理解されず たんにやばい人と
はんだんされてしまったので
そこでその遊びはやめた。


で 自分の気持ちをまとめると ただ川で過ごしたい。だけだったので
釣り竿も持たず休日にとっとと家を出て川に行き 夕方帰ると 父に


父「お前どこ行ってたんだ?」


「川に釣りに・・・」 と いつもの言い訳を


父「釣り竿も持たずに??」


「釣り竿忘れた。。。」と 流れで返してしまい


父「どうやって釣りしたんだ?」


「針と糸だけ持って行ってた。。。」 とあわてて嘘をつく。


以後 小さい釣り針と糸だけ 21歳くらいまで わりといつでも持ち歩いてた。

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